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銀製品と刻印の重要性

今回は銀製品(シルバー)における刻印の重要性について語りたい。

質問者:なぜ銀製品には刻印をする必要があるのですか?

補足として質問者は金製品(K18)やプラチナ素材(Pt900)のジュエリー等は、使用されている宝石の希少価値が高価だから製品に刻印を施す理由がわかるとのことだ。しかし銀製品は比較的に買いやすい価額のため刻印が不要ではないのかというご見識だ。

刻印の件は、素朴な質問ではあるがとても重要なことだ。そこで銀製品に刻印を施す理由を述べる前に銀素材の経緯について、読者と知識を共有しておく必要がある。

近年、ハンドメイドジュエリーの普及とともに気軽にジュエリー素材(銀粘土等も含む)としての銀が注目を浴びている。そして数多く存在する銀ジュエリー(シルバーアクセサリー)のなかでも世界的な主流となっているのがシルバー925である。

このシルバー925の銀事情(銀素材の比率)を詳しく説明すると、925製品というのは「製品に92.5%の銀を使用し、残り7.5%を銀以外の素材(銅など)を割り金という技法で混ぜた合金の銀製品」のことである。

なぜ合金にするかといえば100%の銀の貴金属というのは、宝飾品や銀食器などの製品としての強度面が弱い。

意外と思われるかもしれないが指でクイッと曲げることができるほど水飴のように柔らかいのだ。

つまり純銀は製品の耐久度の観点では宝飾品に向かない。そこで製品の全体比率7.5%を銀以外の金属で混合(割り金)させて精製することにより、強度と輝きを得ることができ、現在の銀製品の立ち位置となっている。

なかでも銀92.5%銅7.5%で製造されている銀製品は「スターリングシルバー」と呼ばれ、大手ブランドメーカーを中心に多くの製品の使用されている。ちなみにスターリングとは英語で「価値のある」「本物の」という意味合いにある形容詞だ。

このスターリングシルバーの表記での基準値は、百分率のパーセント(%)ではなく「千分率のパーミル(‰)」というものである。パーミルはなかなか耳にすることのない単位だが、宝石業界で生活していくならば覚えていても損はないだろう。

パーミル比率における銀925、銅75についての表記だが、重要なのは「銀の含有度」なので銅の75という表記及び刻印は省略されている。つまり百分率の10倍での成分表記が求められている世界がシルバーアクセサリーの世界といってよい。

よって銀製品で確認できる刻印の925という数値は、925/1000の銀を使用しているという千分率のパーミル(‰)での貴金属の品位認証(純度の割合)であり、その品位認証(品位証明)がそのまま名称となっている。

これはあの世界的宝石商(銀ジュエリー最大手)であるティファニー社(Tiffany&Co.,)が定めた基準で、アメリカ合衆国の公式基準としても公認されている。

ちなみに日本の法律で銀の刻印を義務付けられている品位区分としては、999、950、925、900、800の5区分である。これは日本産業規格(日本の国家標準規格の一つ/通称:JIS規格)で定まっている。

最近、キャッチコピーとして純銀という名称をよく目にするのだが、日本においては成分的に品位区分として999の銀製品および銀インゴットのみが「純銀」とみなされている。925は純銀ではないので表記には是非とも留意していただきたい。

ちなみに銀インゴット(銀地金)には、製造会社と品位認証を刻印することが法律で義務付けられており、ファインシルバーとよばれる純度99.99%の銀である。刻印は999(スリーナイン)、純銀を刻印することが法律で定められている。

さて冒頭の質問にあった銀製品の刻印理由ではあるが、上記の内容からすでにお分かりだろうと思う。つまり銀が素材として経済的価値が付与する存在であり、価値の担保として「日本の国家標準規格で品位区分が定まっているために品位認証として打刻する」のである。

とりわけ貴金属製品は、金や銀であれ、正しくその貴金属で作られた製品として証明(品位認証)として、その使用貴金属の成分を刻印されるのが一般的である。

これは余談であるが、現代社会において銀をはじめ金や白金(プラチナ)などの貴金属は、専門の分析器で金属含有量を分析をすれば、すぐにその成分を確認でき、貴金属の取引も安心安全に行えるものだが、それはつい最近のことであって一昔前までは分析器も無く、商取引の際は一般的には刻印が重視されていたほどだ。

銀の真贋検査の場合は、硫酸等の薬品を使用し金属反応の確認をするなどの念入りに検査を行われていた。

諸君は信じられないかもしれないが、銀はかつて南米の銀山や日本の生野銀山等で銀が採掘がされるまでは、黄金と同等の価値があると見なされている時期があった。

その理由としては、銀は人間の手によって精製しなければ取得できない希少貴金属であり、金は自然界に結晶体の状態(小粒金)で発掘されていた経緯があるため、人件費等の観点から銀の価値が金の価値を逆転していた時期があったからだ。

それゆえにヨーロッパのある銀鉱山を運営していた神聖ローマ帝国系譜の貴族、王室御用達の貴族(富豪)は、日本の生野銀山等や南米の銀山で新たな鉱床が発見され、ヨーロッパに大量に輸入されはじめると、保有している銀の資産価値が暴落して領地や会社の経営難に直面したほどだ。

それと同時に銀の生産量が世界的に飛躍に安定することにより、現在のような価額に落ち着いたといえよう。

ところで5ポンド銀貨で有名な英国では数百年もの間、5ポンド銀貨はスターリングシルバーで造幣されていた歴史があり、現在でも銀硬貨は成分の違いこそあるが「兌換通貨(流通貨幣)の造幣素材」として重要視されている。英国において925刻印の銀は、純銀と同等であると現在でも見なされている実例といえよう。

1件のコメント

初めまして。
初めてのコメントにて突然説明させていただく非礼をお許しください。
趣味でイギリスのアンティークカトラリーを集めています。
このため、銀の刻印の重要性は理解しているつもりです。
最近、ネットで銀製品とうたわれている製品に「STERLING950」と刻印されているのをよく拝見します。
SILVER950やSTERLING SILVER950ならわかるのですが、STERLING950は正規の銀の刻印でしょうか。
イギリスの製品では、STERLINGとだけ記されていることがありますが、「950」とはついていません。イギリスの場合はSTERLINGのみで92.5%以上の銀を含むことを意味しているとおもいますので、「950」は必要ないのだと思います。
また、「STERLING950」と刻印されているのは日本製の製品のように思います。
もし、「STERLING950」が正式な刻印であるかご存知でしたら教えていただけないでしょうか。
イケゾエガレ様の経歴拝見し、ご存知ではないかと思い、おうかがいいたしました。

厚かましいコメントで申し訳ございません。

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【運営からの返答】

お世話になります、イケゾエ宝飾家運営です。

ご質問の件の「STERLING950」です。

アンティークの銀製品のなかには、STERLING950を刻印した製品も存在はしています。

STERLINGとは、ご存じの通り「価値がある」「本物」を当時のメーカーが保証した要素があります。

その理由としては製作当時は、今のような金属測定器等が存在していなかったためです。

従いまして製品の金属成分の真贋において、現在は金属測定器にてすぐに判明できます。

おそらく読書様がご心配されている要素は、購入なされようとしているアンティークカトラリーの歴史的背景だと思われます。

こればかりは肉眼で確認してみる必要があります。

販売元から返品条件を確認の上、ご購入なされることをおすすめします。

以上、ご返事とさせていただきます。

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