
イケゾエガレ&ロミオ兄弟は今でいうところの就職氷河期世代の宝石商である。
今思い返せば、私たちイケゾエ兄弟に起きたあの出来事はまさに『神の啓示』ともいえる衝撃的な出来事といってもよかった。ちなみにあの奇跡的な出来事は、ある著名な経営コンサルタントとの経営薫陶のなかで起こった出来事でもある。
日本を代表する著名な経営コンサルタントとの出会いと経営薫陶に関しては別の機会に述べるとして、私たち兄弟の生い立ち等について知りたい方は『イケゾエガレ&ロミオ兄弟とは?』を読まれたうえで、本記事『宝石商リチャード氏との出会い』を読んで頂ければ、時系列的に分かりやすいのではないかと思う。

さて『あの出来事』とは、まさに宝石商の事件簿といってもよく、ちまたでよく聞く宝石商の事件といえば、リアルな話であれば『ピンク・パンサー事件』が有名だ。
ピンク・パンサー(Pink Panthers)とは、欧州を拠点として世界各地で有名な宝石商からダイヤモンドなどの宝石類・ジュエリー類を巧みな方法で窃盗を行う国際犯罪組織だ。
約200人ほどの腕利きの泥棒たちで構成され、彼らによってこれまで宝石業界では128億円超(10年間の統計)の被害をだしている。

最近では老舗の宝石商ショーメ(フランス本店)が3億円の被害を出したと聞くが、この窃盗がピンク・パンサーのメンバーの仕業かどうかは不明だ。
彼らの特徴としては殺人を一切犯していない事で知られ、尚且つ捕まった仲間さえ見捨てずに救出することで知られる。
モールス・ルブラン著の怪盗小説「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」やミステリー小説「宝石商リチャード氏の謎鑑定」も顔負けの宝石専門の窃盗のプロフィッショナルなのだ。
今回、私たちが読者諸君にお話しする出来事は、 国際犯罪組織ピンク・パンサーに盗みに入られたとか、そういった類いの話ではないのでどうか安心してほしい。

令和の時代を迎えた今、古い話で大変恐縮ではあるが、あれは確か平成●年の出来事だった。
名立たる美術商や有力ギャラリーが立ち並ぶことで知られる関西屈指のギャラリー通り、大阪市北区にある西天満老松通り、私たちはそんな美術商ゆかりの地で小さなジュエリー会社を営んでいた。
それは真夏のある日のことだった。
突然、社内にけたたましく電話が鳴った。


大阪の夏はヒートアイランド現象も相重なって、故郷の姫路とは違い、とても暑かった。
うだるような暑さの中「お電話ありがとうございます。株式会社・・・ですが」とイケゾエガレのやせ細った声に対して電話の主は「Hello,Are You Mr Gallet Ikezoe?」と英語で話しかけてきた。
しばらくしてガレ本人だと分かれば、話の詳細を詰めようと電話の主は「本人確認もふまえ、 大変に失礼致しました。ボスの命令により、早速ですが本題に入らせてもらいまいますね。イケゾエガレさんに連絡を取らせて頂いたのは、私たちが毎年開催する香港のダイヤモンドオークションにご招待するためです」と落ち着いた口調で言った。

電話口の相手は米国に拠点を置く、世界的に著名なベルギー・アントワープ出身のユダヤ人宝石商の香港支社に在籍する香港支店責任者(日本人女性)からだった。
ここでは便宜上、かのユダヤ人宝石商を「宝石商リチャード氏」と名付ける。
どうやら話の内容によれば、イケゾエガレが数日前に日本でのジュエリーオークションを企画しているため、一緒に協業できないかと宝石商リチャード氏にEメールで相談しており、今回の電話はその返答だったようだ。
その答えが「香港への会員制ダイヤモンドオークションへの招待」ということだ。


宝石商リチャード氏が日本での総代理店を探していることもあって、彼女は宝石商リチャード氏の要望により、イケゾエガレ&ロミオにアポイントをとってきたわけだ。
宝石商リチャード氏の思惑というよりか、狙いは至って簡単だ。
「香港への会員制ダイヤモンドオークションへの招待」はあくまでも口実であり、イケゾエガレ&ロミオが日本総代理店ライセンスを付与するにあたり、信用に値する宝石商かどうかをじっくりと見極めたいのだろう。
宝石商リチャード氏が商談の場を設けるにあたり、香港支店の彼女はイケゾエガレ&ロミオに香港に来てほしいと懇願するので、電話口でとりあえず香港の地理に知見がある「イケゾエガレ本人が香港に行くこと」でその場をとりまとめた。
弟イケゾエロミオは、面識が一度もないその女性の言葉がどうしても信じられない。
「何か裏があるに違いない。甘い話には裏がある、裏どりせずに香港に行くのはやめた方がいい」とロミオはガレに香港には行かないように懸命にアドバイスすること数時間、二人は答えを見出すことができずにいた。


「香港に行く」「絶対に行かせない」イケゾエガレとロミオがすったもんだを繰り返すこと数時間後、宝石商リチャード氏から会社代表のメールアドレスに英語のメールが音を立てて届いた。開封してみれば香港で行われる「会員制ダイヤモンドオークションの招待状」であった。
場所は香港リーガルエアポートホテルだ。
香港国際空港からホテルまで連絡通路は約300メートルとアクセスには申し分ない。おそらく世界中の宝石商・ダイヤモンド商が集まることから立地を重視したのだろう。
開催確認のためにイケゾエガレは、香港リーガルエアポートホテルに宝石商リチャード氏主宰のダイヤモンドオークションが開催の真偽を確認したところ、それは紛れもなく「開催される」ということだった。
しかもこのオークションは毎年世界中の名立たる宝石商・ダイヤモンド商が招待され、地下にあるVIPルームにて数十億円のマネーが瞬時に動くオークションであり、このオークションに参加するには宝石商リチャード氏からの署名入り招待状が必要とのことだった。




「今さっきの電話も、そしてこのEメールも間違いなく『本物』だよ。これは私たちが世界の有力宝石商たちに認められるチャンスだぞ!」
ガレのこの一言にロミオは「無名な自分たちが認められる理由がない」と釈然せず、また心から納得しなかったものの、ガレが2年間中国に遊学した理由はこのためにあったのだろうと自問自答したうえで、イケゾエガレの香港行きをしぶしぶ受け入れた。


こうして真夏の7月 、イケゾエガレ&ロミオの全権代表として、新進気鋭の若手宝石商として、 宝飾デザイナー・イケゾエガレは宝石商リチャード氏の招きに応じて、関西国際空港から香港の地に意気揚々と舞い降りた。
このときガレも香港で『あのような恐怖』を体験するとは思わなかった。
宝飾デザイナー・ イケゾエガレがどんな災難もしくはトラブルに遭ったのか、宝石商リチャード氏の正体とは、私たちイケゾエガレ&ロミオのその後を知りたい方は、是非ともイケゾエガレ&ロミオ公式サイトのメルマガ登録をおススメする。
ちなみにこの続きは非常に長くなるので、イケゾエ宝飾家メルマガにてお伝えしようと思う。