新緑の季節、私は大阪中之島美術館にて開催されているクロード・モネの展覧会に足を運んだ。
この現代アートのような黒い箱モノ、シュルレアリスムの世界観のような箱が大阪中之島美術館である。
2022年2月2日に開館した美術館でもある。
収蔵作品は約6,000点だ。
この令和の美術館のコンセプトは、良い意味での「美のブラックボックス」を目指しているのだろうか。
モネ展、美術館に入場するまでの約1時間余り。
人々の騒めきと町の騒めき、暑さと群衆によるストレスが私を疲弊させた。
額から滴り落ちる一筋の汗は地面に触れた瞬間、時間の刻みを真夏のように思い出させるほどだ。
それほど今日の暑さは4月と思えないほど暑い。
それにしても一人の人間がこれほどまでに言葉も文化も宗教、そして時代さえも乗越し、人間に善なる影響を多大に与えるとは、同じクリエイターとして留意せざるえない。
クロード・モネ、過去に生きた画家でありながら現代を生き、未来を生きる画家。
彼の遺作は過去現在、そして未来に生きる人類に問いかけてくる。
ある意味においてイケゾエロミオが目指すべき理想の姿、美の集大成がそこにあるのだろう。
今回展示されていた作品群は美術の教科書で紹介されているような代表的な作品群が多かった印象だ。
クロード・モネの作品は一般的には光に満ちあふれた作品が多い。
そのことから彼は「印象派」の巨匠であり、光の画家というイメージが一般的に浸透している。
しかしモネが印象派の巨匠である所以は、対象を的確に捉えた光表現やデッサン力、世の一般及び批評家が賛美する描写力ではないと個人的に思う。
画家の鋭き眼と時代の最先端ともいえる感受性で捉えた「美の本質」、尚且つ時代を超越した第三者に対して、色彩豊かな光が織りなす光景をみごとに描きだし、鑑賞する者すべてに共有化できるからだと思う。
モネが愛した光景を色鮮やかな色彩を通して、私たちは時代を超えて「疑似体験」することにより、光に呑み込まれながら得体のしれない感動を戦慄的に覚えるのだ。
これがクロード・モネが伝えたかった風景に宿る季節感や時間の移ろいの美意識なのだろう。
キャンバスの中に絵の具と共に刻印された「臨場感」こそが、光の画家モネがモネたる所以であると私は思いたい。
今回の展覧会で時代を越えて、巨匠の感性を共有できたことは、贅沢な時間を過ごしたといえよう。
光の画家クロード・モネ、貴方からのメッセージは確かに私は受け取った。
文:イケゾエロミオ 編集:琳派編集部