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千年の都といわれて久しき京都。
明治になり首都は、江戸に遷都し東の京都「東京都」となったが、今も尚、かつての首都の趣を感じるのは伝統の深さゆえか、それとも悠久の時の刻みのためか。
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その奥深さはさすがに千年の都との誉たる謂れがある。
日本最後の文人画家と称される富岡鉄斎の展覧会のため、私は京都の国立近代美術館に足を運んだ。
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氏の作品の分野は文人画だというものだ。
文人とは本職以外に詩文書画に造詣がある風流人のことであり、晴耕雨読の上で彼らが描いた水墨画のことを文人画と呼称する。
現代でいえば御茶人がそれに近いといえるのかもしれない。
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富岡鉄斎の人生及び生涯は、文人というよりも学者肌であったため半芸半学の人生といってもよい。
文人画の特色とは、一般的に「気韻生動を感じる趣と四絶(詩書画印)の配置と品格」といわれている。
鉄斎の画には、道教と神道を混ぜ込んだ伝統的な神秘性を感じるため、人によっては好き嫌いがはっきりと分かれる。
文人画の筆運び、つまり運筆は油彩画と明らかに違い、どことなく丸み帯びた優しい感じを受ける。
それは「彼の哲学に由来するのだ」と私は率直に思う。
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また文人画といえば、中國清王朝の水墨画にまつわる若き日の思い出を語らざるえない。
私が薫陶の狭間にあった青春時代、師事を仰いだ水墨画の師範がいた。
その人は誇り高き華人であった。
その人は苦労の人であり、とても優しくも厳しき人であった。
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その人は清王朝皇帝の末裔であり、文人画家であり、もはや文人といっても過言ではなかった。
日本の文人画も良いが、本場中国の近代文人画には藩天寿氏や李可染氏とよばれる巨匠がいたことは、残念ながら日本ではあまり知られていない。
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中國清王朝の水墨画の精神性の到達点は、個人的には文人画だと思う。
敬愛する中国水墨画の大家、あの方はお元気にお過ごしであろうか。
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かの皇帝の男系女子の皇統を受け継ぐ麗人は、中国数千年の水墨画の学びを知るうえで、私の人生にとって欠かすことのできない忘れがたき出会いであり、いつの日か再び相見えることを切に願う。
富岡鉄斎展は過去への記憶を誘う、大変有意義な追憶の展覧会であった。
文:イケゾエロミオ 編集:琳派編集部