[PR]Amazon公式通販|在庫がなくなり次第 販売終了 >>

ルビーの意味と価値基準とは?

本日は『 情熱の赤 』と称され、魅惑の宝石ルビーの意味と価値基準について語る。

本日の質問

ピジョンブラッドルビーって一体どんなルビーですか?

ピジョンブラッドルビー という名称は最高品質のルビーのみに冠されるルビーのことだ。ピジョンブラッドを和訳すれば『鳩の血』と訳されるが、鳩の血のように鮮血を意味し、「濃度の高い赤」という表現にすぎない。

いわゆるピジョンブラッドルビーの定義は曖昧だが、文字どおり『鮮やか』『透明度』『深紅』の3条件は欠かせない。一方で非加熱や産地、大きさなどはピジョンブラッドルビーの定義には含まれないので注意してほしい。ピジョンブラッドルビーという名称は最高品質のルビーのみに冠されるルビーのことだ。

そもそもルビーとは、コランダムと呼ばれる鉱石であり、モース硬度10であるダイヤモンドに次ぐモース硬度9もある非常に硬い宝石のことである。ちなみにコランダムは、酸化アルミニウムを含んだ貴石のことでもある。

酸化アルミニウムの純粋な結晶は『 無色透明 』であり、宝石名称としてはホワイトサファイア(カラーレスサファイア)と呼ばれる。ちなみに青色であればご察しのとおりブルーサファイア、黄色であればイエローサファイアと呼ばれる。

赤色であれば、文脈からして本来は『 レッドサファイア 』と呼ばれるのが本筋かもしれないが、欧州の歴史的な経緯からこの場合、赤色のコランダムはレッドサファイアではなく『 ルビー 』と呼ばれる。

ちなみにルビーとサファイアは、世界5大宝石の1つに数えられている。

序列1位はダイヤモンド、第2位はエメラルド、第3位がルビー、第4位がサファイア(ブルー)、第5位がアレキサンドライトだ。最近ではタンザナイトレッドトルマリンを加えて世界 7大宝石 とも称されている。

このルビーの中でも特段に希少価値の高いルビーこそが、質問表題にある『 ピジョンブラッドルビー 』である。 もちろんそれは 『鮮やか』『透明度』『深紅』 、いわゆるカラー、クラリティ、そして輝きに準じる。

ピジョンブラッドルビーは産出量と市場での流通量が限定的なため、価額は今後も上昇する傾向にある資産価値のあるルビーといえる

特に非加熱のピジョンブラッドルビーは、ジュエリーデザイナーによって作品化されれば脇石のダイヤモンドの品質とデザインにもよるが、近年では 億単位での取引がされている高価な宝石でもある。

まさに至極の宝石、否、『 至高の宝石 』ともいえる。

なぜルビーが鉱物学的にレッドサファイアではなく、『ルビー』として呼称されているのか、欧州の宝石の歴史について少し語らせてもらう。

そもそもルビーの名称は、ラテン語の赤を意味する『 ルベウス(Rubeus 』に由来する。つまり欧州の古代民族ラテン人の言語に由来するとおり、ルビーは非常に長い歴史をもつ由緒ある宝石の一つなのだ。

話は変わるが、儀式においてキリスト教では、赤ワインはキリストが流した鮮血と考えられており、ミサや祭儀においても使われることは有名な話だ。

この「ラテン人の宝石」と呼べるルビーも同様で、キリスト教において「キリストが流した鮮血」とされる。 つまりルビーを所有すること自体が敬虔なキリスト教徒の証というわけだ。

一方で 王家や聖職者が冠や杖、宝飾品に大粒のルビーを用いるのは「キリストが流した鮮血」 とされるルビーを身につけることで、 自分たちが神の信託者であると民衆に権威づけるためだ。

いわゆる体のいいプロパガンダといってもよい。

とくに一族の権威を高めるため、ルネサンス期を始まりとして欧州諸侯は競ってルビーを使用した宝飾品を制作させ、宮中晩餐会にて招聘貴族たちにそれらをひけらかせた。

その結果、ルビーを使用した宝飾品は権威とともにその資産価値が急上昇し、一国の王位や爵位の代名詞とみなされるようになった

しかし19世紀または20世紀、鑑定学及び鉱物学の学問的発展により、ルビーとサファイアが同じ鉱石に属する「コランダム」であることが判明した。

ルビーを『 レッドサファイア 』と呼称することは、資産価値を下げるだけでなく、キリスト教の教義を歪曲する可能性があるという宗教的背景の配慮から、 宝石業界ではルビーを『 レッドサファイア 』と呼称しないことが決定した。

さて話をもとに戻すが、『ピジョンブラッドルビー』を日本語に和訳すると「鳩の血のルビー」という意味であることは先ほど記載したとおりだ。これはルビーの赤みの深さの度合い、つまり赤の等級を示唆するものにすぎない。

ちなみに欧州と縁がある赤いコランダム『 ルビー』は、意外にも思えるのだがヨーロッパ大陸では産出されていない。

ジュエリー文化自体はヨーロッパとオリエント地方が発祥であるといっても過言ではないだろうが、世界5大貴石の地位にあるルビーといえども、実はヨーロッパ由来ではないのだ。

結論を言えば、ルビーはユーラシア大陸のアジア地域で数多く産出される宝石である。

またそのなかでも宝石質のルビーが発掘される地域は、地理学的に非常に限定されており、むしろルビーの特色と言っても良い。

ルビーの主な原産地は、アジア地域ではミャンマー、タイ王国、スリランカ、ベトナム、カンボジアの5カ国地域が主要産地である。アフリカ圏ではタンザニア、マダカスカル、モザンビークの3カ国地域が主要産地である。

とりわけミャンマーで産出されるピジョンブラッドルビーは、 最上級品とされ、サザビーズやクリスティーズ等の海外高級オークションにおいては、投資の一環だけでなく、資産のポータブル化として『億単位』で取引されている。

イケゾエ兄弟の市場調査によれば『ミャンマー産( モゴック鉱山産 )』『非加熱 』のピジョンブラッドルビーが千万円単位、もしくは億単位という高額取引がされているようだ。

ちなみに『ピジョンブラッドルビー』の名称は、サファイアのロイヤルブルーサファイアと同じく英国王室が深く関与している。

歴史を紐解くところ、ミャンマーが英国統治下時代だった頃、ミャンマー産の最高級ルビーに対して、英国王室が下賜した栄誉称号なのだ。これは特段に珍しいことではない。

英国王室には、王室御用達(ロイヤルワラント)という考え方がある。

王室に対して、優れた商品やサービスを提供できる選ばれたブランドや会社に授けられる称号であり、英国にはその称号を下賜する企業と『個人』が約800以上あるとされる。

『個人』にも王室御用達の称号を与える英国王室の姿勢には感服するものがあるが、宝石に英国王室が王室御用達(ロイヤルワラント)ではなく、ミャンマー産ルビーに対して名誉称号を与えたというわけだ。

『個人』 といえば、王室や人類に対して功績をあげた個人に対して、英国王室は一代限りの貴族位「騎士」の爵位を下賜する伝統があるが、ピジョンブラッドルビーの栄誉称号はそれに近いものがある。

日本の宝石鑑別業界は、世界的な鑑別機関である『英国宝石学協会』の影響下にあることからピジョンブラッドルビーの鑑定名称においても、それに準ずる。

したがってピジョンブラッドルビーとは、英国王室のお墨付きによりミャンマー産ルビーに付加価値が付与され、ブランド化されたルビーともいえる

要約すれば、ピジョンブラッドルビーとは「王室のルビー」であり、まさに王室の赤(ロイヤルレッド)なのだ。

なかんずくモゴック地方(モンスー鉱山)のルビーは、過去数百年以来、至極の美しさを過去から現在まで評価は揺るぐことはない

世界標準の話になるが、ルビーの価値と価格というものは、このミャンマー産のピジョンブラッドルビーを頂点として価値基準が選定されている。

ちなみに英国宝石学協会の影響下にある日本の宝石鑑別機関では、ピジョンブラッドルビーと表記されるルビーは『ミャンマー産ルビーと限定された上での表記となる。

一方、海外の宝石鑑定機関では品質的に一定基準を満たすルビーは、産地や処理方法は問わず「ピジョンブラッドルビー」と表記される。

諸君はご存じないかもしれないが、世界でのルビーの年間産出量は50万カラット程度といわれ、同じコランダムのブルーサファイアの年間産出量2000万カラットに 比べると希少性が高い。

さて本日は、英国王室所縁のピジョンブラッドルビーについて詳細に語ったわけだが、鑑別機関からピジョンブラッドルビー評価を受けた、大粒の非加熱ルビーのルースがようやく手元に届いたので、そのジュエリーデザイン作業のため、このあたりで失礼する。