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パライバトルマリンの偽物とは?

本日は、トルマリンの中でも絶大な人気を誇るパライバトルマリンについて語りたい。

質問者:パライバトルマリンの偽物ってあるんですか?

現在、パライバトルマリンは世界三大希少石の一つとして数えられるほど価値がある宝石といえる。ちなみに残りの希少石二つはパパラチアサファイアアレキサンドライトである。

この二つの宝石については、読者からの関連する質問があり次第、記述する予定なので今は割愛させてもらう。

パライバトルマリンは原産国であるブラジルの鉱山が閉山した理由から近年、「経済的価値(つまり投資価値・資産価値のことである)」が高騰している。

宝石業界の国際的最高権威であるアメリカ宝石学会(GIA)では、パライバトルマリンの蛍光が強いネオンブルーの色相は、最高級のブルーサファイアに匹敵し、 このトルマリンの希少性から「1カラットあたりの価格もまた、高級なブルーサファイア(非加熱・IF級の天然ロイヤルブルーサファイア)の価格に匹敵する可能性がある」とされているほどだ。

そのような複雑な経緯から宝石業界ではパライバトルマリンの『偽物』が確認されている。

最近、偽物と呼ぶよりも正確には「パライバトルマリンではないが本物のトルマリンに人為処理を施し、パライバトルマリンであると偽証して販売しているケース」をよく目にする。

GIAでは、透明度が高く青く、蛍光色が強いトルマリンのことを宝石学的に『パライバトルマリン』と呼称しており、カラーバリエーションでいえばネオンブルー系ネオングリーン系に分かれている。

基本的にはトルマリンの中に銅(Cu)及びマンガンが含有されている場合、GIA基準により「パライバトルマリンと認定される」わけだが、裏を返せばいくら表面がネオン系の色彩を帯びていても、銅及びマンガンが含まれていなければパライバトルマリンとは認定されない。

現在、パライバトルマリンもどきのトルマリンが、認定パライバトルマリンとして銘打ち市場に出回っている宝石は上記の内容のものといえる。

また海外の信用に足らない宝石鑑別機関(いわゆるB鑑定機関、ちなみにA鑑定機関はGIA等を指す)でパライバトルマリン分析表を取得し、日本国内に流通させるケースだ。

私も一度、そのようなB鑑定機関基準のパライバトルマリンを宝石仲買人から入手したことがある。いわゆる業界用語でいうところの『B鑑パライバ』である。

国内流通のために日本国内の鑑別機関で再鑑定を依頼した際、鑑別結果は銅(Cu)の含有が確認できないパライバトルマリン、つまりパライバトルマリンとして認定されるには不適格トルマリンであった。

読者の諸君も、外国の宝石鑑別機関の分析表が付属するパライバトルマリンであっても、その内容を鵜呑みにしないことだ。一般社団法人である宝石鑑別団体協議会(AGL)に属する国内鑑別機関(いわゆるA鑑)にてパライバトルマリンの再鑑別を依頼することを是非とも薦める。

そもそも希少石の類いは、その希少性を逆手にとり、パライバトルマリンに限らず日本国内に偽物が流通していることは周知の真実だ。

しかしよく考察すればわかることではあるが、「希少」ゆえに一般消費者が手に入る価額帯で一般市場に流通することは、まずありえない。というのもパライバトルマリン購入層のなかには資産運用の一環として、『投資目的』で購入しているケースも見受けられるからだ。

いわゆる富裕層による『宝石投資』である。

とりわけパライバトルマリンの1ctあたりの宝石(ルース)の価値を経済的価値で換算するとダイヤモンドを凌ぎ、ルースの中でも別格の存在ともいえる。

なぜパライバトルマリンは、それほどまでに高価なのか?

それには理由があるので、パライバトルマリンの歴史を今一度、紐解きたいと思う。

宝石コレクターや富裕層から絶大な人気を誇るパライバトルマリンの歴史は実のところ非常に新しい。というのもパライバトルマリンの発見は1982年だからだ。宝石業界においては、新参者といっても良い新しい宝石である。

といってもトルマリン自体は非常に歴史のある宝石であるため、従来のトルマリンの価値観を覆した宝石と捉えた方がむしろ妥当といえる。とくにパライバトルマリンの原石はジュラ紀などの古い地層で発見されていることから、何千万年も前に地中で生成し、つい最近になって採掘されたものと考えられている。

ちなみにパライバトルマリンの名称由来は、原産国に由来している。じつにブラジルのパライバ州の人口わずか500名余りのバターリャ村の鉱床から発掘されたため、パライバトルマリンと呼称されているわけだ。

発掘者であるエイトー氏は、天然石である証明をするためにGIAでこの宝石の鑑別と分析結果を取得し、1989年のアメリカ合衆国のツーソンミネラルショー(宝石国際市)に出品した。ちなみにツーソンミネラルショーは世界を代表する宝石展として知られ、世界の宝石トレンドの発祥地だ。

エイトー氏が出品したネオンカラーのトルマリンは、鮮やかな色彩ゆえに誰もが当初は本物の宝石として見なさず、合成宝石と思い込んでいた。当時はパライバトルマリンという名称ではなく、「キュプリアン・エルバイト(銅を含むエルバイト)」として販売したそうだ。

エルバイトは、イタリアのエルバ島で発掘されたピンクトルマリンの鉱物学上の名称のことであるが色彩的にもネオンブルーのトルマリンが、ピンクトルマリンの変種扱いで販売されていたことは驚きであろう。

これが歴史上のパライバトルマリンの正式な宝石業界へのデビュー(お披露目)といえる。

開催初日の1ctあたり80USDの財産価値としてみなされていた合成石に見えるキュプリアン・エルバイトは、来客者である富裕層の間で人気を博し、開催終日には1ctあたり2000USDにも高騰した。

それはまさに宝石業界のアメリカンドリームといっても良いのかもしれない。それが現在のパライバトルマリンの価値相場の基準値となっている。

21世紀に入ってからは、南米ブラジルだけではなく、アフリカ大陸のモザンビークやナイジェリアからもパライバトルマリンが発掘されるようになり、パライバトルマリンの名称に物議を醸し出したことは業界では記憶に新しい。

というのも南米大陸とアフリカ大陸は、もともとは一つの大陸であったため、大規模なトルマリン鉱脈が地殻変動による大陸分裂により、各国に分散した可能性が否めないからだ。

現在は広義でパライバトルマリンは銅が含有されていれば、産地は問わずにパライバトルマリンと認定されるというのが日本及び世界共通認識である。

以前は「マンガンが含有されていればパライバトルマリン」と判定基準があったが、最近の研究によれば「マンガンはパライバトルマリンの色味に起因していない可能性がある」とGIAで仮説がたてられており、色味としては青・緑のネオンカラー、成分としては銅が含有されていることが条件となっている。

ここで気を付けなければならいないことが一点ある。

冒頭で述べた「パライバトルマリンの偽物」は明らかに人為的な処理によるものと「鑑別機関の定義変更により、銅を含まず、マンガンのみを含んだトルマリン(旧定義ではパライバトルマリンと認められていた)ものがある」ということだ。

この点に関しては読者の皆には是非ともお知り置き頂きたい。

ちなみに宝石の名称に関しての規約においては、大抵の場合、原産国の既得権益から政治的にも経済的にも横やりが入るものなのだが、ダイヤモンドを超える価値を有するパライバトルマリンの件においては、波風が立たなかったことは、それほどパライバトルマリンの鉱山を有する各国地域おいて、重要なポジションを占めている証左である。

アフリカ産のパライバトルマリンは、ブラジル産と違い、主にネオングリーン系が主体だ。ネオングリーンのパライバトルマリンにも当然価値はあるのだが、わが国においては圧倒的にネオンブルーのパライバトルマリンに市場価値が置かれている。

気になる「パライバトルマリンの相場」だが、1粒1カラットで一般的な宝飾店ではモザンビーク産は10万円前後、ブラジル産は40万円前後だ。ネオンカラーが強いものであれば、モザンビーク産で100万円以上、ブラジル産で300万円以上はする。

海外高級オークションでは5ctのブラジル産パライバトルマリンのジュエリーがモザンビーク産で1500万円、ブラジル産で3000万円に競り上がったことは記憶に新しい。

金投資に比べて、宝石投資は宝石との縁ものといわれており、枯渇状態にあるブラジル産パライバトルマリンは正直なところ出会うことさえ難しい一期一会の宝石だ。

上記の内容からパライバトルマリンの石言葉は「ルーツ(始まりの系譜)」という言葉があてがわれている。

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