今回の質問者はファッションに敏感な20代女性からの質問だ。質問の応答にはいる前に諸君と知識を共有しておきたい。
日本に住んでいたらピンとこないかもしれないが欧米ブランドはイメージを最も大事とする。
ティファニー、ブルガリ、ルイヴィトンを所有するLVMHグループだけでなく、欧州に拠点を置く高級ブランドは環境問題に敏感だ。
例えば高級鞄のHERMES(エルメス)は、動物愛護団体の猛烈な抗議を受けて、動物の革使用を取りやめたことは記憶に新しい。この流れは今後加速していくことは間違いないだろう。
それでは本題に入らせてもらう。
最近、気になる動きとしてイタリアの高級ブランド「PRADA(プラダ)」がラボグロウンダイヤモンドを使用したラグジュアリージュエリーコレクションを発表した。
カルティエからプラダに入社したジュエリーディレクターのティモシー・イワタ氏によれば、プラダのラグジュアリージュエリーコレクション「プラダ エターナル ゴールド(Prada Eternal Gold)」シリーズに使用するダイヤモンドは「ラボグロウンダイヤモンド」に入れ替わる予定だ。
したがって質問者への答えは「YES」である。
冒頭、欧米ブランドはイメージを最も大事とすると記載したが、プラダも同様である。
プラダのラボグロウンダイヤモンドジュエリーコレクションに使用される地金は、すべてリサイクルゴールドで知られ、SDGsに適応した環境破壊を伴わないゴールドだ。
そして使用されるラボグロウンダイヤモンドは、SDGsに適応した環境破壊を伴わないダイヤモンドである。
まさに彼らが目指しているブランドイメージの到達点を想像できるのが今回のラグジュアリージュエリーコレクションともいえる。
今後、主となる消費者はミレニアル世代やZ世代と確実に移行してくるからこそ、彼らの消費哲学をブランドホルダーは誠実且つ戦略的に学んでいるといってもよい。
ミレニアル世代やZ世代の価値観及び消費哲学は、従来の考え方とは大きく異なる。
いわゆるエスタブリッシュメント(社会的階級の成功者・支配者)の価値観は一切通用しない。
ミレニアル世代やZ世代は固定観念のすべてを取り払い、本当に良いものを自分の良心に従い、素直に行動に移すからだ。
そこで諸君と確認したいことが一点ある。
また、冒頭で紹介したフランスの高級鞄HERMES(エルメス)と同じ革を使用したメーカーなど世の中には雲霞の如く存在する。
しかしそのメーカーがエルメスと同じ金額でバッグや財布を販売しているかといえば「NO」である。あの価格帯はエルメスだからこそ成せるものであり、エルメスだからあの金額なのだ。
それでは「ラボグロウンダイヤモンド」にこの考え方を置き換えてみたい。
高級ジュエリーに使用しているダイヤモンドをラボグロウンダイヤモンドに変更したからといって、高級ジュエリーが安くなったのかといえば「NO」である。
プラダのラボグロウンダイヤモンドジュエリーは、1点あたり1万ドル以上する。
高級ブランドが高額な理由は使用している商品が最高級だからではなく、高級ブランドだから高額なのである。この点を吐き間違えては身も蓋もない。
今後、ラボグロウンダイヤモンドのジュエリー金額は高級ブランドを指標とされることは間違いない。
おそらくラボグロウンダイヤモンドは値下がりすることなく、今後は一定の価格で取引されることだろう。
それは私たち宝石商が高級オークション「サザビーズ」「クリスティーズ」にて取引されたジュエリーを取引金額の指標とするようなものだ。
以上のことから、質問者の「高級ブランドジュエリーの天然ダイヤモンドがラボグロウンダイヤモンドにすべて置き換わる」ということは真実である。
ちなみに別件であるがイケゾエガレ&ロミオでは、ラボグロウンダイヤモンドジュエリーも取り揃えているので、ラボグロウンダイヤモンドのジュエリーに興味がある方はメールを頂ければ幸いだ。
もちろんダイヤモンドは中央宝石研究所の鑑別書(グレーディング付き)付属なので間違いないダイヤモンドと言えよう。
そのまえにイケゾエガレ&ロミオ兄弟に興味がある読者は、下記から知り得ることができるので時間が許すかぎり参考にしてもらえれば幸いである。
高級ブランドジュエリーの天然ダイヤモンドが「ラボグロウンダイヤモンド」に置き換わるって本当ですか?