

本日はラグジュアリーブランドであり、パリ五大宝飾店(グランサンク)の一つでもあるカルティエに対しての質問だ。具体的には宝飾時計の関する内容である。
質問者:カルティエの腕時計はなぜこんなに高いのですか?
今回の質問者は婚約者から誕生日にカルティエの腕時計を贈られた女性からの質問だ。彼女はすでに婚約指輪を受け取っているので、これは婚約時計ではなく純粋に婚約者からの誕生日プレゼントなのだろう。
質問内容を簡単にいえば「ダイヤモンドやゴールド(貴金属)を使用しているジュエリーが値段が高いのは分かるが、そうでない腕時計が値段が高いのは理解できない」ということだ。

これは誰もが思うことだろうから、この際に「なぜブランド時計が場合によってはジュエリーよりも高いのか」を読者の諸君と共有したいと思う。

その前にブランドの意味については、「ティファニーのブレスレットの価値」の記事にて説明しているのでブランドの概念をまだ理解していない方は、是非とも読んでもらえれば、本記事についても理解しやすいかと思うので参照してもらえれば幸いである。
さて早速だが本題に入りたいと思う。
「ティファニーのブレスレットの価値」でも述べたが、「ブランド品というのは、人に贈るために存在する」といっても過言ではない。

質問者は20代前半の女性ということから、いわゆるスマホ世代である。
Apple Watchなどのデジタル時計が主流の今日ではあるが、一昔前までは私たちの世代も含め、時間を知るためにはスマホよりも「腕時計」が主流であった。
ブランド腕時計の価値を推し量らうためにもスマホの技術革新により、方向転換を余儀なくされた他業種をのことを少しばかり語りたく思う。

スマートフォンの登場により、まず斜陽産業の一つとして「カメラ産業(ビデオカメラ・アナログカメラ)」があげられる。
高機能スマートフォン、そして様々なアプリの登場により、プロフィッショナルの優れた写真家のように写真を簡単に誰もが撮影できるようになった。
さらには動画も撮影でき、写真同様に知り合いに共有することも可能になった今、「カメラ産業(ビデオカメラ・アナログカメラ)」は斜陽産業の一つとなった。
これは米国Apple創業者であるカリスマ経営者スティーブン・ジョブズ氏によるイノベーションの賜物であり、20年前まで誰も想像しなかった出来事であるかと思う。

その結果、カメラ産業や電話帳産業、印刷産業など様々な関連産業が斜陽産業となり、とりわけ日本を代表する企業であった富士フイルムは大きな業態変革を迫られた。
富士フイルムだけでなく、キャノンやニコンも同様である。そのなかにあって腕時計を主体とするシチズンやセイコーも例外ではなく、付加価値をつけての事業変革を迫られた。

しかし海外において100年以上もの誇れる歴史を有し、資産価値とブランド価値が確固たる地位を築き上げている外資系ブランド、カルティエやブルガリ、ティファニーなどはさほど大きな影響は受けなかった。
幸運と呼ぶべきか、大変幸いなことにジュエリーを主体とするカルティエやブルガリ等の腕時計は、決して「時刻を正確に刻むためだけの役割を担う腕時計ではない」といえる。
要約すれば「カルティエの腕時計はラグジュアリーな腕時計であり、ジュエリーと同等の価値がある」とまわりに周知されているということだ。ジュエリーメーカーではないがロレックスの腕時計も高級宝飾時計と同様の立ち位置といえよう。

仮にとある理由でカルティエの腕時計を売却した場合、腕時計の状態にもよるが、ダイヤモンド相場や金相場に関係なく、市場原理に基づき、売値の半値前後で買い受けられることが多い。
その意味で「カルティエの腕時計はなぜこんなに高いのですか?」の答えだが、カルティエの腕時計はジュエリーとしての認識から市場価値がある。
すなわちブランドだから高価なのではなく、市場から評価されている、要約すれば「単なる腕時計ではなく、資産価値のある宝飾時計もしくはジュエリーとしての位置付けにあるから高価」というわけだ。
そして何よりも大事なことであるが、質問者が婚約者から高級腕時計を贈られるほどまでに大事にされているという証ともいえるのではないだろうか。
質問者が贈られた腕時計の価額を知り得て驚嘆したのは、理解できないわけではないが、ここはひとつ婚約者の顔を立て素直に喜びたい。

本日から読者の諸君は「カルティエの腕時計は、単なる腕時計ではなく時を刻むジュエリー」という認識を持ってもらえれば幸いである。

カルティエなどのブランドジュエリーに関しては、評価の分かれている部分もあることから、ブランドホルダー以外の小売店で購入するあたり真贋問題も含め、その価格が妥当な価格もしくは適正な価格がどうかが判断に迷うところかと思う。
私たちイケゾエガレ&ロミオはジュエリーブランドを立ち上げる前、中古品や新古品のブランド品を取り扱っていた経緯もあり、ブランドの価値及びその商品が適正値段かどうかの知識もあることから、是非ともイケゾエ宝飾家のメルマガ登録(無料)されることをおススメする。

