今回の質問者は、宝石専門学校生(男性)からの質問だ。
カラットとキャラットの違いは専門学校の座学で学ぶものと思うが、「前知識」として知っておくのも悪くはないかと思うので質問に答えようと思う。
それでは時間もないことから本題に入ろうと思う。
ところで読者諸君はカラットとキャラットの違いは分かるだろうか。
いや「分かっていたらこんな記事なんて読んでいない」との声が聞こえてきそうなので、このまま話を進めよう。
まずカラットとキャラットだが、二つの単語は「別物」である。
カラット(Karat)というのは、ジュエリーの地金に対する金の相対的な割合単位だ。
例えばK18といえば18金を意味する。
カラット(Karat)の意味を表す割合単位を頭文字「K」と打刻するのが日本の宝石業界の鉄則だ。
海外では18Karatということから基本的に後文字だが、日本では頭文字に「K」と刻印しなければならない。
K18と18Kは日本と海外の表記の差ではあるが、日本の宝石業界では「偽物」表記扱いされるので取り扱いが注意だ。
とりわけ海外輸入のジュエリーに関しては再打刻が必要なり、再打刻された商品は査定評価が低くなる傾向がある。
日本のジュエリー業界が保守的なガラパゴスといわれる所以である。
ちなみに金の純度は24カラット(24K)であり、この場合の金の純度は100%である。
地金に打刻する金属表記は当然のようにK24となる。
22カラット(22K)の場合、金の純度は「金91.70%+合金8.30%」となり、刻印はK22だ。
18カラットの場合、金の純度は「金75%+合金25%」となり、刻印はK18だ。
14カラットの場合、金の純度は「金58.50%+合金41.50%」となり、刻印はK14だ。
金買取の場合、合金を省いた金額での買取となる。
例えば18カラットのジュエリーの場合、「金75%×金相場」になる。
金相場が1万円であった場合、K18のジュエリーの買取金額の方程式は以下だ。
75%×1万円×質量(g)
話が大きく脱線したのでもとに戻すが、読者諸君がよく耳にする「カラット(Karat)」とは金の相対的な割合単位であることは理解されたと思う。
一方でキャラット(Carat)とは宝石の重さを表す単位であり、略称単位は「ct」、重さは0.20g=1.00ctだ。
私たちのジュエリー世界が「0.20gの世界」と呼ばれる所以はここにある。
ダイヤモンド1ctの読み方としては「ダイヤモンド1キャラット」と読むのが正しい。
しかしながら昨今、ダイヤモンド1ctを「ダイヤモンド1カラット」と読んでいる宝石商が多い。
発音しやすいという理由からだと思うが、私たちイケゾエガレ&ロミオもあえて「カラット」と呼んでいる。
というのもキャラットは日本人には発音しにくいからだ。
C単語の代表的な海外単語としてカメラ(Camera)の存在がある。
今でこそCameraはカメラだが、正しい発音はキャメラである。
だが一般的に皆が発音しているCameraの発音はカメラのほうだ。
なぜなら発音しやすいからだ。
逆にCameraをキャメラと呼び、自分のことをキャメラマンと呼んでいる人は、それが正しい呼び方であったとしても一般的な周りの人たちからは「面白い人」「変な人」と嘲笑されるのがオチだ。
1ctを「1キャラット」と呼ぶことに関しては否定こそしないが、場合によっては嘲笑の的になるので控えたほうが良いだろう。
郷に入れば郷に従うという言葉があるように、英語発音をそのまま日本市場に適応させる必要はまったくない。
日本のジュエリー界には日本独特のルールがあるからだ。
一般大衆及び消費者市場で受け入れられるのであれば、Caratの発音がカラットであっても何ら問題はない。
宝石鑑別機関最大手の中央宝石研究所においてもCaratに関しては「カラット」表記だ。
むしろその発音で市民権を得られるのであれば、1ctを1カラットと呼ぶほうが得策だろう。
以上が今回の質問「カラットとキャラットの違いがいまいち分かりません」の私たちの答えである。
カラットとキャラットの違いがいまいち分かりません