本日はジュエリーとアクセサリーの違いについて諸君に語ろう。
これは業界の曖昧な部分であり、二つの業界の闇の部分とも言える。その理由はジュエリー業界とアクセサリー業界は、似て非なる業界だからである。
ジュエリー業界は王侯貴族や裕福な商人により資産価値を有した裕福層により形成された歴史のある世界だが、アクセサリー業界はジュエリーを手本としファッション業界に付随する若者たちによって形成されてきた世界と言えるためであろう。
諸君もご存知の通りジュエリーとはゴールド(K18やK14)やプラチナ(Pt900やPt850)を主とした貴金属を地金として扱い、天然ダイヤモンドを中心にルビーやサファイアそしてエメラルドなどの貴石を取り扱った洗練された宝飾品のことである。
資産的に価値がある宝石であり、むしろ宝石や貴金属を使用したものがジュエリーと呼べる代物だ。興味深いことにジュエリーの歴史は文明の起源と共にあるといっても良い。
世界四大文明には『宝石に畏敬の念を持つ痕跡』が存在しており、ジュエリーはまさに文明の発祥起源のうち、鋳造技術と宗教の混合によって生み出された文化といえよう。
先ほど述べた『宝石や貴金属を使用したものがジュエリー』との概念だが、ゴールド(K18やK14)やプラチナ(Pt900やPt850)以外にも、地金としてシルバー(SV925やSV950)を使用した代物も立派なジュエリーである。
ゴールド、プラチナ、シルバーの地金に天然石を使用したものがジュエリー、いわゆる『宝飾品』というのが現在のジュエリー業界の位置づけである。
従って私たちイケゾエガレ&ロミオ兄弟が敬意を評する、世界五大ジュエラーの一角を成しているアメリカ合衆国のニューヨークに本店を構える「Tiffany&Co.(通称:ティファニー)」のシルバーアクセサリーも立派な宝飾品ということだ。
決してアクセサリーという分野には属さない。
ティファニー同様にLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の傘下にある銀の宝石商ブルガリもまた然りである。
つまり双方とも歴史に名高い銀の一流宝飾品メーカーなのだ。
銀素材(Silver925)のジュエリーは、地金自体がそれほど資産価値がないためどちらかといえば、ある一定のブランド志向の強い客層の支持のもと、パリコレクションなどのアートセンス及びファッション流行を取り入れながらも醸成されてきたジュエリー土壌がある。
要は銀ジュエリーそのものがアートセンス(いわゆる芸術力)がモノをいう宝飾品でもあるのだ。
さて話が大きくそれてしまったが宝飾品(ジュエリー)の歴史は、時の権力者の権威のシンボルとして大きく発展してきた経緯がある。
権力者が死去した際、その副葬品としてジュエリーを納棺している考古学見地からもジュエリーの社会的重要性を垣間見ることができる。
代表的なものに古代エジプト文明のツタンカーメン王の黄金の仮面はその代表的存在といえよう。
銀の場合は紀元前3000年ぐらいにはすでにその存在は把握されており、一時期黄金よりも価値が高かった時期があったぐらいだ。また銀地金自体が加工しやすいという要因もあったのも否めないだろう。
古代ギリシャの都市国家や古代ローマ帝国でもシルバー(Silver)は、採掘量が多いことから銀貨として、ローマ帝国の兌換通貨(流通貨幣)として経済の主軸を担っていた。
まさに人と共に歩んできた身近な貴金属といえる。上記のように銀の歴史も実のところ金同様に古い。
ちなみに売れにくいゴールドジュエリーに対して、比較的売りやすいシルバージュエリーを一般大衆化するため、庶民層に喧伝するために宝石商は、21世紀になってある言葉を生み出した。それが「シルバーアクセサリー」という名称である。
その名称を考えた宝石商は天才、いやネーミングセンスは超一流だと素直に思う。なぜなら高級な銀ジュエリーを一般大衆化し、流通量を増やすことに成功したのだから。
つまりシルバーアクセサリーという名称は、銀ジュエリーの高級感を喪失することなく、流行を組み入れながらも宝飾店がジュエリーを販売しやすいように努力した結果の売り文句(キャッチフレーズ)なのだ。
したがってシルバーアクセサリーは、一般的な「アクセサリー」ではなく、宝飾品の正統な流れを汲んだ正真正銘の「ジュエリー」であることを読者の皆には肝に銘じてもらいたい。
一方、アクセサリーとは、真鍮やステンレスなどの比較的安い金属を合金として取扱い、 トルコ石や瑪瑙などの半貴石、合成石などを使用したファッション性に富んだ装身具であり、 冒頭でも述べたが若者によって生み出されてきたファッション雑貨(或いはファッション小物)であるといえよう。
要約すれば、ジュエリーとは地金と一級天然石・貴石を使用した『宝飾品』のことであり、アクセサリーとは合金と半貴石・合成石等を使用した『装身具(雑貨)』のことだ。
そしてシルバーアクセサリーはどの分類に属するかといえば、名称こそ「アクセサリー」ではあるが、その性質は銀地金と一級天然石・貴石を使用した『宝飾品』に属する、強いて言うならば宝飾品と装身具の中間『準宝飾品(もしくは高級装身具)』に位置するといってもいいだろう。
以上が大雑把であるが、ジュエリーとアクセサリーの違いである。
Silver925はジュエリーなんでしょうか?