
本日は天空の宝石として名高いあのラピスラズリについて語ろう。
質問者:ラピスラズリの偽物の特徴を教えてください
まず市場に偽物として多く出回っている宝石の一つがラピスラズリといえる。
それほど需要があり、また多くの方が騙され続けているということを示唆している。
日本でも古代よりシルクロード通じて瑠璃という名称で伝来しており、その名称に親しみを感じられる方もいるだろう。
またスタジオジブリの宮崎駿監督「天空の城ラピュタ」でモチーフとされた飛行石は、このラピスラズリともいわれている。

このラピスラズリはエジプトやバビロニアなどの古代文明発祥時から、認知され存在してきた来歴のある由緒ある半貴石の宝石の一つといっても良い。
さて本題のラピスラズリの偽物の特徴なのだが大きく分けて3種類ある。
一点目は石肌が似ている宝石にトリートメント処理(着色料による染色)を施したもの
ハウライトという白い石肌の半貴石にトリートメント処理を施すと、見た目は本物のラピスラズリと同等の色つやが出ることは、もはや業界では常識といえる。
真贋鑑定の際は除光液(アセトン)で拭きとれば、トリートメント処理しているものならばすぐにその顔料が剥がれるので比較的、判断がつきやすい。
留意点としては色が落ちるだけでは、ラピスラズリは偽物とは言い切れないことがある。
なぜなら低級品の色のまだらなラピスラズリをより見栄えをよくするために、 トリートメント処理を施す行為は、業界では容認されているからである。

ご存知のように天然のラピスラズリには金粉のような模様がある。
これはパイライトといわれる成分で天然のラピスラズリ特有のものだ。
宝石全体が群青色に統一された無加工のラピスラズリが、唯一市場では宝石としての価値がある。
したがってパイライトはラピスラズリの真贋には大きく貢献するが私情評価額には影響は与えない。
二点目は低級品のラピスラズリを粉末にし煉り合せた再生ラピスラズリ
文字通り、商品価値のないラピスラズリ粉末状にし、煉り合せたものである。
真贋鑑定としては鑑別機関にて成分分析にかける必要がある。
三点目はラピスラズリを構成している副成分を加工処理したもの
ラピスラズリは主にラズライトを主成分とし、副成分のカルサイト、パイライトをもって構成をもって成立している半貴石である。
その副成分の一つである白の石肌部分であるカルサイトを着色してラピスラズリとして販売しているケースもある。これは厳密にはラピスラズリではなくカルサイトという石属にはいるので気をつけた方が良い。
ラピスラズリの青の成分が少なくカルサイトの白が多い宝石は、比率によりラピスマトリクスと呼ばれる宝石になるので、留意すべき点だろう。
余談であるがウルトラマリンブルーといわれる絵具は、天然のラピスラズリが原料とされている。 フェルメール画伯の名画「真珠の耳飾りの少女」に 使用されているターバンの青は、この天然のラピスラズリが原料である。

先ほども述べたが天然のラピスラズリは色が濃い石ほど宝石としての価値が非常に高い。 それは残念ながら諸君が市場で見ることがないかもしれないほど、コレクターストーンとして重宝されているのが現状だ。

ラピスラズリは古代エジプトではファラオの王族以外は身に着けてはならない神聖な宝石といわれ、所持を禁じられていた逸話がある。 これらの物語が相重なりラピスラズリの現在の宝石の価値は定まっている。
諸君がラピスラズリを購入する際は、これらのことを踏まえ購入してほしいと思う。あまりにも値引きの価額差が激しい商品や安すぎるものは、必ず理由があることを知ってほしい。以上がラピスラズリの真偽のノウハウといえる。


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